あと302日!【権利関係15:債務不履行】
本日は
「権利関係」
の
「債務不履行」
について
勉強します。
<まずは過去問!>
債務不履行に基づく損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。
- AB間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、借主Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年5分の利率により算出する。
- AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができる。
- AB間の金銭消費貸借契約において、借主Bは当該契約に基づく金銭の返済をCからBに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Bの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期限が経過してしまった場合、Bは債務不履行には陥らず、Aに対して遅延損害金の支払義務を負わない。
正解:4
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああさああああああああああああああああああああああああああああああささあああああああああああああああああああああああああああああさああああああああああああああああああああ
<解説>
1:正しい⭕️
契約の締結以前の準備段階においても、
当事者は、相手方に対し、
信義則上の説明義務を負います。
この義務に違反し、
契約締結の判断に影響を及ぼす
情報を提供しなかった場合、
相手方が被った損害につき、
賠償責任を負うわけです。
この責任は、不法行為による賠償責任です。
契約上の債務不履行による
賠償責任を負うことはありません。
2:正しい⭕️
金銭の給付を目的とする
債務の不履行については、
その損害賠償の額は、
法定利率によって定めます。
その法定利率は、年5分です。
※利息がつくかどうかを何の定めもしなかった場合、
利息は発生しません。
3:正しい⭕️
「不動産の二重売買の場合において、
売主の一方の買主に対する債務は、
特段の事情のないかぎり、
他の買主に対する所有権移転登記が
完了した時に履行不能になる」
とするのが判例です。
Cが登記を備えた段階で、
BのAに対する引渡義務が
Aは、Bに対して
債務不履行に基づく損害賠償請求を
することが可能です。
4:誤り❌
金銭債務について、債務者は、
不可抗力をもって抗弁とすることができません。
つまり、金銭債務は、
履行不能となることがないわけです。
Bは「Cからの支払がなかった」ことを
抗弁とすることができません。
Bは返済期限を経過した時点で
債務不履行に陥っているのですから、
Aに対して損害賠償金を支払う義務を負います。
<もっと詳しく>
『 債務不履行とは? 』
約束したことを果たさないことを
債務不履行と言います。
要は契約違反のことです。
そして、債務不履行には
「履行遅滞」
「履行不能」
「不完全履行」
の3種類があります。
- 履行遅滞:債務者の責任(故意もしくは過失)で約束の期日までに約束を果たさないこと(履行しないこと)
- 履行不能:債務者の責任で約束を果たすことが出来なくなった
- 不完全履行:債務者の責任で中途半端にしか約束したことを守れなかった
『 成立要件 』
①債務者に帰責事由があること
帰責事由とは?
故意(わざと)もしくは過失(不注意)のことです。
債務者から頼まれた者(履行補助者)に
故意・過失があっても債務者の責任になります。
②履行しないことが違法であること
約束を守らないことが違法であることです。
たとえば、同時履行の抗弁権が主張でき、
相手方が履行しない場合は違法ではないので、
約束を守らなくても債務不履行とはならないです。
『 履行不能 』
債務者に帰責事由があって
債務を履行することができない場合、
履行不能となります。
債務者に帰責事由がなければ、
危険負担となります。
たとえば、A売主、B買主で建物の売買契約をしたとし、
引渡しを1ヶ月後としたとします。
契約締結後、1週間後に地震(不可抗力)により、
建物が倒壊した場合、
債務者Aに帰責事由がなく、
建物を引渡せなくなたので、
履行不能ではなく「危険負担」となります。
危険負担となると、
原則、債権者が責任を負わないといけないので、
Bは建物を引渡してもらえなくても、
代金をAに支払わないといけません。
もし、売買契約前に建物がなければ、
契約自体無効となります。
債務不履行が発生すると、
債権者は
「損害賠償の請求」
と
「契約解除」
ができます。(両方請求可)
ただし、損害賠償請求をする場合は、
損害を受けた側(債権者)は
損害額がいくらかを証明する必要があります。
これは非常に面倒なので、
事前に争いになったら「いくらにしよう!」
と決めておくこともできます。
これを「損害賠償額の予定」といいます。
『 損害賠償額の予定とは? 』
損害賠償額契約と同時に決めておく必要がなく、
後で決めても大丈夫です。
そして、金銭で定める必要もないです。
たとえば、金銭で定める場合
「違約金は100万円」と決めるのも🆗です。
違約金は特段の定めがない場合、
損害賠償額の予定とみなされ、
万一、債務不履行が生じたら、
債務者は100万円を支払わないといけなくなります。
このとき、「損害があったこと」も
「損害額」も証明する必要はないです。
ただ、債務不履行の事実さえ証明できれば
100万円を請求できるようになってます。
債務不履行が原因で裁判になって損害額が
「予定した損害賠償額」と異なっていても、
裁判所も予定額の増減ができません。
損害賠償額の予定をしても、
債権者は契約解除はできます。
『 金銭の債務不履行の特別要件 』
①金銭債務は不可抗力を理由に
責任を免れることができません。
例:
電車が止まったから
代金を支払えなかったといっても
履行遅滞になってしまうかもしれないです。
②履行不能はないです。
建物であれば、
建物が無くなれば履行不能になるが、
お金に関する債務は履行不能にはならないです。
③損害を証明しなくても、
法定利率(5%)の損害賠償の請求ができます。
ただし、当事者間で5%以上の
利率で約束(約定利率)した場合、
約定利率による請求ができます。
<まとめ>
債務不履行なんて悪いことですよね。
やれっていわれたことをやらない。
・相手側が履行しない場合、債務不履行にならない
(同時履行の抗弁権)
・履行不能は損害賠償の請求と契約解除ができる
・事前に損害賠償の金額を予定できる
以上かなー
だす。